衣本 太郎
(キヌモト タロウ)
理工学部理工学科 生命・物質化学プログラム 教授
先端技術・GX研究センター 副センター長
専門:電気化学・無機材料化学・エネルギー関連化学
SDGsとイノベーションに繋がる技術開発を目指して、水の成分の水素や空気に含まれる酸素を使って発電する(1)燃料電池や(2)二次電池の材料開発、(3)水から水素を取り出すための電極の開発、ならびに(4)竹を原料にしたセルロースナノファイバーの製造プロセスの開発や用途開発を進めています。
(1)燃料電池自動車やエネ・ファームに搭載される固体高分子形燃料電池の研究
固体高分子形燃料電池の電極触媒への研究として、(1)炭素粉末の表面を化学的に修飾して高性能化を図る、(2)独自の電子顕微鏡観察技術による劣化メカニズムの定量的解明、(3)白金を全く使わない触媒の開発に取り組んでいます。また、充電ができる新しい燃料電池の開発にもチャレンジしています。
(2)空気二次電池用電極の開発
水を分解することで充電し、水を作りながら放電する二次電池の開発を進めています。この電池には、酸素を反応させるための触媒(電極触媒)が必要で、パイロクロア型金属酸化物に着目して、高性能化と量産化のための研究開発を進めています。
(3)水電解による水素製造用の電極触媒の開発
水を電気分解すると水素ができます。この水素はエネルギー源として利用できます。そのための電極触媒として、活性炭、酸素、窒素とチタンを組み合わせた新しい化合物を世界で初めて開発しました。また、水の電気分解では酸素を円滑に発生させることも必要です。そのための電極触媒の開発も進めています。ゼロエミッション、クリーン、エコな水素社会の実現に繋げるため、高性能化の研究を進めています。
(4)竹を原料にしたセルロースナノファイバーの製造プロセスの開発と用途開発
竹の異常繁茂は生活環境や自然環境の悪化に繋がります。そこで、竹を素材活用して社会を豊かにするとともに環境を守ることを目指し、竹から繊維とセルロースナノファイバーを作る独自プロセスを開発し、大分大学発ベンチャー企業の株式会社おおいたCELEENAを2021年9月に起業しました。SDGs対応製品として化粧品等への活用が期待されています。現在、JAXAらと共同で宇宙用途の開発も進めています。
